
今回のはたらく人
高山 昌宜(たかやま まさよし)先生 / ESPギタークラフトアカデミー 教務主任
ギタークラフトマン養成スクールのESPギター・クラフトアカデミーの高山昌宜先生
音楽や楽器が好きな人なら、一生音楽に携わった仕事をしたいと思うのは無理はないだろう。
しかし、ミズモノと呼ばれる音楽業界で生きるには、それなりのリスクと覚悟が必要なのも事実。
ところが、そんな音楽業界にあって、最近注目を浴びている職業がギタークラフトマンだ。
今回は楽器ショップが立ち並ぶ東京・お茶の水に校舎を構えるギタークラフトマン養成スクールのESPギター・クラフトアカデミーの高山昌宜先生にお話を伺い、業界を影で支えると同時に新たなトレンドさえつくりつつある彼らの実像に迫ってみた。
ESPギタークラフトアカデミー
東京・御茶ノ水。楽器ショップが立ち並ぶ街の一角に、音楽業界から注目を浴びている「ESPギタークラフトアカデミー」はある。同校は1975年、「ミュージシャンのための本物のギターを製作する技術者の育成」を目的に設立。以来、音楽業界に多くの人材を送り込んでいる。
同校が育成する人材は、ギタークラフトマンと呼ばれるギター製作者。木材を加工して、ギターの形に仕上げる「木工」、ホディやネックに色を塗る「塗装」、各パーツを組み込みギターとして完成させる「組み込み」のギター製作の全工程を携わるクリエイターだ。
「かつては一人前のギタークラフトマンになるには、先輩の指導のもとで技術を覚え、5〜10年かかりました」と教務主任の高山昌宣さんが言うほど習得が困難な職業だった。それが同校では1〜2年で一人前に育て上げるのだから就職率100%というのも頷ける。
ミュージシャン志向が強い人ならギターテクニシャンの道もある
卒業後は楽器メーカーに就職するのが一般的だが、ミュージシャン志向が強い人ならギターテクニシャンの道もある。プロミュージシャンのギターをメンテナンスをする技術スタッフのことで、最近では専門会社やフリーで活躍する人が多く、業界からの需要が高まっている。技術を磨きギターリペアマンを目指すのもいい。こちらは文字通りギター修理をする専門家のこと。ボディに入ったヒビ、ネックの湾曲などを元通りに修繕するのが役目であり、一流になると日本だけでなく海外からも依頼が届くという。この他、ギタークラフトマンとしての技術や知識を生かし応用する職業も非常に増えている。楽器の卸販売やショップ、海外との貿易やパーツの開発・製造など数え上げたらきりがない。インターネットでオリジナルギターブランドのショップやリペア専門会社を立ち上げる例も増えているという。
80年代のバンドブームを経て
「80年代のバンドブームを経て、音楽業界は成熟期を迎えようとしています。会社に勤めるにしても、独立するにしても、クラフトマンの技術を持っている人は、この業界では引っ張りだこです。インテリアとしてのギター、子供用ギターなど新しいビジネスモデルが増えているので、活躍の場がさらに広がるのは確実です」と高山さんも、その将来性に太鼓判を押す。